【名古屋市北区】造り手のストーリーをお客様へ届ける日本酒専門店「ごとう屋」60年の歴史に迫る!
日本酒ファンがこぞって訪れる「ごとう屋」
名古屋市北区の住宅街に、日本酒好きが足繫く訪れる酒屋さんがあります。その名は「ごとう屋」。店頭には、直接酒蔵に行かなければ買えないような日本酒や焼酎、ワインなどが豊富に並び、冷蔵ケースの前でじっくりとお酒選びを楽しむファンの姿も。
そんな「面白いお酒がある」「店主のセレクトが信頼できる」と評判の「ごとう屋」は1966年創業。もともとはまちの食料品店としてスタート。その後、コンビニ業態を経て日本酒専門店へ―――。
今回は「ごとう屋」の歴史と、後藤さん親子おすすめのお酒についてご紹介します!
「面白いことやりたい」まちの食料品店からコンビニの先駆けへ
「名古屋に始めてコンビニエンスストアがやって来て、面白いなと思ったのがきっかけですね」
そう話してくれたのは、「ごとう屋」2代目の後藤久彰(ごとう・ひさあき)さん。前述したように、「ごとう屋」の創業は1966年。スーパーマーケットが登場する前、お米は米屋さんで、お肉はお肉屋さんで、豆腐は豆腐屋さんで、という時代。当時は食料品店「ごとう食品」という名で、缶詰や麺類、ドライフルーツやパンなども扱っていたそうです。

左:3代目の後藤大果(ごとう・たいか)さん/右:2代目の後藤久彰さん
その後、「サンチェーン」というチェーン店のコンビニエンスストアの走りが名古屋に現れます。コンビニの「小さいスペースに食料品から日用品まで何でもそろう」という商売に興味を持ち、1983年、食料品店から個人経営のコンビニエンスストア「ゴーショップ」としてリニューアルオープン。ブルーとイエローを基調にしたお店(当時のミニストップを意識していたそうです!)は、オシャレと評判で、若者たちがこぞって来店したのだとか。今でこそコンビニの24時間営業は一般的ですが、その頃7:00~23:00の営業時間の年中無休の営業スタイルは革新的でした。
「新しいことを始める時って、前例がないので失敗しやすいじゃないですか。 でも、先駆者の良いところは、みんな応援があるところ」と、久彰さん。
当初はコンビニならではの「在庫の種類が多く、それぞれの仕入れる量が少ない」=「採算が合わない」ことで業者さんが商品を卸してくれないかも……という懸念があったそうですが、名古屋市北区の住宅街で“個人経営コンビニの先駆者”として誕生した「ゴーショップ」を、周囲の人々は面白がり、色々な人が協力してくれたのだそうです。
コンビニの先駆者から酒専門店へ
コンビニの先駆者、その先に見えた限界。
名古屋市北区に“コンビニブーム”を起こし、周囲の協力も得られ、順風満帆だった「ゴーショップ」。しかしその後、大手コンビニが次々と出店、そして大型スーパーマーケットの登場により、段々と風向きが変わってきました。とはいえ「大手のチェーン組織に入るのも何か違う……次は何をやろうか」と考えた時に、頭に思い浮かんだのが、昔から好きでこだわっていた「地酒」。
食料品店時代からコンビニ時代に至るまで、お酒の売り場が広く“お酒が買える食料品店”、“お酒が買えるコンビニ”として地元の人たちに重宝されてきた背景もあり、1994年、日本酒を中心とした酒屋「ごとう屋」として新たなスタートを切りました。
蔵元へ足を運び、直々にやり取り「造り手の想い」をつなぐ
昔はお酒と言えば「日本酒」。当時は缶チューハイもなく、ビールやウイスキーなどの洋酒が高価かつ、珍しかった時代でした。しかし、時代の流れと共に、スーパーマーケットには大手メーカーの多種多様なアルコール類がズラリと並ぶように。形勢逆転してしまった日本酒の需要が減りつつあることに、各蔵元は頭を悩ませていました。
この流れを食い止めるべく「特別美味しいお酒を作って売ろう」という地酒に特化した蔵元の動きがあり、そこに共感したのが“全員日本酒好き”という後藤さん一家。
通常は、酒蔵(メーカー)→問屋→小売店(酒販店)の流れで、問屋さんからお酒を仕入れるのが常識。しかし、後藤さんは日本酒に特化した専門店として、日本酒蔵から直接仕入れることを考えました。特化することでその他競合店との差別化を図る―――これが「ごとう屋」の生き残り戦略でもありました。「ごとう屋」で取り扱うのは流通量の少ない“知る人ぞ知る”お酒ばかり。現在、約40の酒蔵と直接取引を行っています。久彰さんと大果さんが酒蔵へ足を運び(時には半日以上車を走らせて……!)、蔵元と直接話し、本当に美味しいと思ったお酒を仕入れています。造り手自身やそのお酒が造られるまでのストーリーを大切にしていて、おすすめのお酒を教えて頂いた際にも、興味深いお話がたくさん飛び出しました。
おすすめのお酒3選
「白龍 純米吟醸 夏・さ・ら・ら」(720ml/税込1,650円)は、福井県永平寺町にある「吉田酒造」が醸造する夏季限定の日本酒。ひと口飲むと、マスカットのような爽やかな香りが広がり、口当たりは柔らかく、後味はスッキリ。冷やして飲むと真夏にピッタリ! 後藤さん親子が声をそろえて「天才!」と言う、若き女性杜氏が造っています。
「岩清水 GOWARINGO(ゴワリンゴ)」(720ml/税込4,290円)は、長野県中野市の「井賀屋酒造場」が手がける日本酒「岩清水」シリーズの中でも特に人気の高い1本です。「井賀屋酒造場」は、夫婦2人だけで醸している小さな酒蔵で、生産量も極小。そのため、全国でも限られた店舗でのみ取り扱われているので入手困難な場合も。白ワインのような味わいで爽やか!こちらもとても美味しかったです。
「小左衛門 純米吟醸 パイルドライバー」(720ml/税込1,705円)は、岐阜県瑞浪市にある「中島醸造」が手がける「小左衛門」ブランドの限定酒です。この「パイルドライバー」という名前は、プロレスの技「パイルドライバー」が由来。タンクからお酒を瓶詰めする際に、重力を利用して上から落とす工程が、技の動きに似ていることから名付けられました。しっくりくる甘みが感じられ、ほのかに発砲感があります。
ラベルに発見!プロレス技の「パイルドライバー」。相手の頭部を下にして、逆さまに持ち上げて頭からマットに突き刺すように落とします。
店内イベントも開催!
「ごとう屋」では定期的にお酒の試飲イベントも開催しています。お話を聴きながら飲むお酒はより美味しいですよ♪直近では2025年7月に開催予定だそうです。「ごとう屋」公式LINEを友達登録すると、イベントの詳細情報や新着入荷情報などが届きます。
美味しい日本酒と出会える「ごとう屋」へ足を運んでみてはいかがでしょうか?
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