【名古屋市東区】“渋ビル愛”にあふれたマニアックイベントが「中産連ビル」で開催されました!
「中産連ビル」初主催のイベントが開催されました!
2025年3月30日(日)、東区白壁3丁目にある「中産連ビル」でイベント「中産連ビル愛好家の集い2025〜特別な時間〜」が、開催されました!
■中産連ビルとは?
「中産連ビル本館」は建築家・坂倉準三により設計された、日本のモダニズム建築を代表する建物です。1963年3月から2025年現在に至るまで、現役のカンファレンスルームとして大切に使用されており、確定申告会場としてもおなじみ。グリーンのタイル貼りの外観や、ランダムな配置が特徴的な「ポツ窓」など、そのモダンな佇まいで建築&“渋ビル”ファンを魅了し続けています。
「中産連ビル」鑑賞についての記事はこちら↓
今回は“渋ビル”(※高度経済成長期(1950~70年代)に建てられた、街中にありふれた地味なビル(味わい深い渋いビル)のこと。その中でも特に渋ビル研究会の琴線に触れたビル)の代表格である「中産連ビル」の魅力を余すことなく楽しめる、有料イベントを取材してきました!
イベント申し込み予約開始2分で定員に到達
2025年3月3日(月)朝9:00から専用フォームでの予約申し込みがスタートしましたが、定員30名の枠がなんと2分で完売!「中産連ビル」が主催する初めてのイベントということで、注目度の高さが伺えます。
イベントプログラムは以下。
イベントの様子
会場に入ると、ホワイトボードやテーブルに「中産連ビル」の歴史がわかる貴重な資料が展示されていました!
改修を重ねているので、現在と昔の内装が変わっている場所があるので写真や実物などが見られるのは本当に貴重!
「中産連ビル」Instagramでおなじみの「#イタ倉ではなくサカ準三」も発見!手書きのホワイトボードに“中産連ビル愛”をひしひしと感じます
■レトロなパンフレットにキュンイラストが時代を感じさせるパンフレット。昔は地下に「マイアミ」というレストランがあり、料理を提供していたそうですよ(記事中盤に「マイアミ」跡地見学の様子を書いています)。
「ハイタッチ・ハイセンス・ハイグレード」「ビジネスライクな……会議・集会専用ビル」というキャッチコピーがイカしてます!
■イベントスタート!ついに「中産連ビル愛好家の集い2025~特別な時間~」がスタートしました。
公式InstagramとXの“中の人”小寺さん(写真左から2番目)は、ビル外観や階段の手すりの美しいカーブ、ワックスがけの様子など日々の「中産連ビル」の様子を投稿されています。小寺さん目線の“ビルの愛でポイント”がアップされているので、まだご覧になっていない方はぜひフォローして見てみてください!
■第1部:「名古屋渋ビル研究会」による解説付き見学会第1部では「名古屋渋ビル研究会」のお二人、建築家・謡口志保さんとグラフィックデザイナー・寺嶋梨里さんによる講演と見学ツアーが行なわれました。「名古屋渋ビル研究会」とは、同級生である謡口さんと寺嶋さんが2人で街歩きをするなかで、琴線に触れるビルを発見しては褒め、愛で、撮影し、年1冊ペースでZINE「名古屋渋ビル手帖」の発行やイベント開催などの活動を行なっているユニットです。渋ビル研究会つながりでいらっしゃっていたお客さんも多く見られました。
挨拶と「中産連ビル」の解説のあとは、参加者全員でビルの屋上庭園から4階~地下階にかけて解説ツアースタート!まずは屋上庭園から。普段は入ることのできない屋上庭園は「近代建築五原則」のひとつ。「近代建築五原則」は、フランスの建築家ル・コルビュジエが1927年に提唱しました。そして「中産連ビル」はこの五原則である「ピロティ・自由な平面・自由な立面・水平連続窓・屋上庭園」を満たす建築でもあります。
この屋上庭園維持し続けるのは大変で、漏水の危機と背中合わせなのだそうです。排水管理など日々の細やかな維持管理のおかげで、美しい屋上庭園が成り立っていると知って感動!「中産連ビル」と言えば、この緑の色ムラが特徴的な大佛タイル。京都・岩倉の株式会社大佛が製造しているタイルです。新しい屋上庭園では触れる距離にあるので、こぞって触れあいタイムとなりました。
各階の解説を聞きながら、思い思いに撮影します。ちょっとした窓枠や壁にもストーリーやこだわりポイントがあり、色々な視点でビル内部を鑑賞することができました!
■貴重!男子トイレに潜入!女性の参加者が多かったのですが、今回なかなか入ることのできない男子トイレにも全員で潜入!(※イベントで貸し切りだったためOK)“ポツ窓”(外壁に点々と散らばるように配置された窓のこと。「中産連ビル」の特徴のひとつでもある)があることで、明るい陽射しが差し込む美しいトイレです。下のほうの窓は外から見えないように、ちゃんと曇りガラスになっています。壁も特徴的で昔ながらの学校や病院で使われていたような互い違いのタイルになっています。皆さんテンション高めで撮影しておりました!
エレベーターのボタンや階数の表示は施工当時のまま!
ピカピカに磨きあげられた青い床は、日々の維持管理の賜物です!写真はみんなで床を愛でているところです。
4階から1階へと降りてきてロビーの解説の様子。ロビーの床に描かれた波模様の線は真鍮でできた「テラゾ」と言う手法で、「中産連ビル」の見どころのひとつ。
“階段マニア”も垂涎の1階ロビーの階段。写真を撮る手が止まりません!
■地下階では初公開となる金庫内部も特別に地下階の金庫として使われていた場所を見せて頂けることに!果たしてどんな空間が広がっているのかっ‼レッツオープン!
薄暗くカビ臭い(普段使用されていないので仕方ない)元・金庫へ、順番に入っていきます。「ここに閉じ込められたらどうしよう~!」と声があがるほど頑丈な扉で、ドキドキしました。
奥まで行ってみました。意外と電気は明るい!探検気分が味わえました。
今は物置になっている元・レストラン「マイアミ」へ。
ここで調理された食事が上の階に提供されたりもしていたそうです。天井の六角形のライトが昔の面影を残しています。
各階にある薄緑色の受付電話も平成初期の雰囲気が感じられて、エモいですね。
■第2部:中村源綱さんによる「坂倉準三とモダニズム建築」講演第2部は、再び会場の部屋に戻り「中村デザイン室」代表取締役/STILL LIFE主宰の中村源綱さんによる、「中産連ビル」を設計した坂倉準三とモダニズム建築に関する講演が行われました。
前述したフランスの建築家、ル・コルビュジエの直弟子だった坂倉準三を含む、日本人建築家のこぼれ話などもされて、非常に興味深い講演でした。坂倉準三が亡くなるまでにたくさんの建築を手がけており、建築に詳しくない筆者などは「これも?え?これも!?」という建物が多数あることが驚きでした。講演のなかで2024年に解体された岐阜県羽島市の「旧羽島市庁舎」の話(※「旧羽島市庁舎」も坂倉準三が手掛けた)もあり、今もなお現役であり続ける「中産連ビル」のすごさ、ビルを管理してくださっている関係者の皆様の努力の素晴らしさを感じずにはいられませんでした。
■スイーツパーティで懇親会♪最後は歓談の場が設けられ、参加者にドリンクとスイーツが提供されました。そしてまさかの全員で自己紹介タイムスタート!(笑)しかし、そこは“中産連ビル愛好家”の皆さん。それぞれビルへの想いを順々に語っていきます。参加者はご近所の方もいれば、県外の千葉や東京、大阪からいらっしゃった方もいました。
美味しいプリンには「中産連ビル」の大佛タイルシールが貼ってありました♪
そして、参加者へのサプライズプレゼントとして配られたのが、
マッチ箱くらいの小さい箱。開けてみると……。
なんと「中産連ビル」ピンバッジが出てきました!これは「中産連ビル」専務取締役の中村連太さんがスーツに付けていらっしゃっていて気付く人は気づいていたという、レアなバッジ。これを付ければ「中産連ビル」の“なんちゃって”社員になれるのだそうです♪
更にお土産として焼き菓子非売品の「名古屋渋ビル手帖」、栞にオリジナルポストカードと、ビル愛あふれる中産連ビルグッズを頂きました!
さらにネームプレートの紙の裏側を見てみると……。
なんと「中産連ビル」の社員の皆様からのメッセージが!こんなところまで練りに練られた企画……もう、愛しか感じられません!
■出演者コメント

最後まで残っていた参加者で記念撮影※画像提供:中産連ビル様
●「中産連ビル」経理/SNS担当:小寺さん
今回、初主催ということで今まで非公開だった金庫なども公開できました。スイーツパーティで、1人ずつ話す時に恥ずかしくてしゃべらない方もいるのかなって思っていたら全然そんなことなくて、皆さん熱くがっちり語って頂いて、本当に注目度が高いものなんだなと改めて思いました。これからも頑張っていきます!
●「名古屋渋ビル研究会」謡口志保さん
中産連ビル初主催のイベントに呼んで頂けたことを、すごく光栄に思っています。愛好家の皆さんたちと一緒に建物を見て回れて、皆さんのフレッシュな感動を間近で見る事ができて、私たちが楽しかったです!
●「名古屋渋ビル研究会」寺嶋梨里さん
私たちは中産連ビルのデザインの素敵さを発信していますが、今回のイベントで、古い建物を残すことは労力やお金がかかったりと維持が本当に大変なので、職員さんたちの頑張りと、このビルのすごさを皆さんにより深く知ってもらえたことが本当に嬉しいです。
●「中村デザイン室」代表取締役/STILL LIFE主宰の中村源綱さん
サイドストーリーばっかりだったんですけど(笑)。すごく楽しかったですね。このような建物に集まれる機会もなかなかないので、貴重な機会をありがとうございました。
最後はお隣の新館の非常階段を登って、本館の屋上を見ようということに!
特徴的なひさしを上から見る事ができるのは本当に貴重!これもイベントでしか見られない光景です。
主催者・出演者・参加者すべての“ビル愛”があふれる素敵なイベントでした。ぜひ今後も定期開催(!)して頂けたらと思います。
■「一棟貸しプラン」始まる
また、「中産連ビル」は会議室などこれまでの使い方と違う「一棟貸し」プランも始めたそうです!物販イベントや広告撮影、展覧会など(使用用途は自由)柔軟な催し物で中産連ビルを丸ごと使えるのだとか!気になった方は、ぜひ問い合わせてみてくださいね。
「中産連ビル」はこちら↓