【名古屋市東区】昭和初期生まれのレトロオフィスビル「太洋ビル」の魅力をご紹介!空室情報も♪
東区が誇る昭和初期建築「太洋ビル」
以前から気になっていた「太洋ビル」に行ってきました。場所は東区代官町。桜通沿いにあり、地下鉄桜通線「車道」駅と「高岳」駅のちょうど間ぐらいのところに建っています。貸しオフィスビルである「太洋ビル」は、そのレトロな佇まいから人気が高く、部屋が空いてもすぐ埋まってしまうそうです!
今回は「太洋ビル」の6代目オーナーであり、同ビルに入っている灸膳のお店「MIL.」代表の朝岡せんさんに、ビルの歴史をお聞きし、現在空いている部屋の内見をさせて頂きました!序盤から、シンプルながらどっしりとした入口と「TAIYOSHOKO BLDG」のフォント具合がたまりません。
エレベーターホールに続くエントランスはひっそりとした雰囲気が漂っていますが、ビル内には40~50世帯の借主さんがいらっしゃいます。さまざまな業種の企業や個人が利用されているそうですが、特に建物自体の歴史的魅力に惹かれて入居される、デザイナーやクリエイティブ系の会社が多いのだとか。
「太洋ビル」の歴史
「太洋ビル」は、陶磁器の輸出入を行う貿易会社「太洋商工株式会社」の事務所として昭和6年に建てられました。そう「太洋商工株式会社」と言えば、陶磁器貿易商として成功した春田鉄次郎氏が設立した会社。東区橦木町にある文化のみち「旧春田鉄次郎邸」に訪れたことがある方も多いかもしれません。
昭和9年に現在の形になった「太洋ビル」で、春田鉄次郎氏の親戚だった朝岡さんの祖父が2代目として陶磁器の輸出業を継ぐことになりました。
第二次世界大戦の空襲を奇跡的に免れ、災害をしのぎ、今なお現存する歴史的建造物として大変貴重なビルです。シンプルながらデザイン性もある姿は、昭和初期に流行した建築スタイル。2015年には名古屋市が実施する「名古屋まちなみデザインセレクション」の「まちなみデザイン貢献賞」を受賞しています。
■「太洋ビル」のビックリ豆知識
実は太洋ビルは戦後の区画整備で、現在の場所に移転しているのですが、その方法がスゴイ!朝岡さんが伝え聞いた話によると、ビルの地下部分を20m以上掘削してから丸太を敷き、人力でビルを押して1日に数10センチずつ移動させていたのだとか!昔の人のパワーに圧倒されます。
鍼灸と薬膳のアトリエサロン「MIL.」
「太洋ビル」1 階には、朝岡さんが営む鍼灸と薬膳のアトリエサロン「MIL. 」が入っています。朝岡さんは子育てを通じて食材選びへの関心が高まり、最初は野菜ソムリエの資格を取得。その後、薬膳アドバイザーの資格も取得し、「MIL.」内で薬膳料理教室を主催したり、ケータリング事業なども展開。さらに東洋医学への興味から鍼灸師の資格も取得し、薬膳と鍼灸を組み合わせた活動を行なうようになりました。
現在、料理教室やケータリングはお休み中で、鍼灸治療と薬膳関連の活動に注力されています。「MIL.」の入口ドアです。
天井が高く、広々としたアトリエ内。厨房も備えており、薬膳の料理教室やケータリングの料理を作っていたそうです。アトリエは短期レンタルもできるので、教室やワークショップを企画している方は検討してみてはいかがでしょうか?
大きめのアーチ型の窓がオシャレ。昭和初期の流行りの窓だったようです。
共用部やお部屋を内見♪
なかなか空きが出ないという「太洋ビル」のお部屋。第二次世界大戦の戦禍や天災を逃れ、ほぼオリジナルの姿で今も現存していることから「縁起がいい」と言う借主さんもいるそうです。
現在3部屋が空室になっています。今回は、すでに入居が決まっているお部屋を2部屋、参考までに内見させて頂くことになりました。共用部のエレベーターも味わい深いです。5階まであるので、エレベーターがあると助かりますね。
これまた非常に年季の入った物置!今も現役で使用されています。サビ具合がイイ感じ。
壁や扉は丁寧に改修を重ねつつ、当時の姿をそのまま残しているところにグッときます。もちろん今は各部屋冷暖房付きにはなっていますが、なかった時代の名残なのか廊下側にも窓がついています。
古道具屋にあるアンティークのような部屋の鍵も、キュンとするポイント♪
鍵を鍵穴に入れて回す音も心地よいです。リアル・アンティークな丸いドアノブもしっくりきます。さっそくドアを開けると……。
日当たり抜群の明るいお部屋が現れました。こちらは3-3号室で、すでに入居が決まっているお部屋です。
床はレトロな雰囲気たっぷりの寄木細工。
3-3号室は人気のテラス付き(※テラスに出ることはできません)。このテラスがどの部分かというと……。
正面から見た時のど真ん中、外観に目立つ装飾がない「太洋ビル」の中でひと際目を引くのがこのバルコニー。この部分のお部屋なのです。
窓は上に持ち上げて開けるタイプ。少々開きづらいのもご愛敬です!
カーテンのタッセル掛けも愛らしい……!
次のお部屋へ向かう前に、段差の違う廊下が現れました。途中で切り替わっているのは、桜通側と反対側の増築された新館。これまで見てきた旧館と比べると床に新しさを感じますが、新館も50年以上前です。
また、すでに入居されている個人の方や企業の部屋移動も頻繁にあるそうで、いかに「太洋ビル」が入居者の方々に愛されているかがよくわかるエピソードです。2-5号室も、桜通側なので日の光が差し込んできて気持ちの良いお部屋です。こちらは先ほどの3-3号室よりもコンパクトな印象。
どのお部屋も共用部も、建造当時のデザインは残しつつ丁寧に修復されていて、とても大事にされていることがよくわかります。
おまけ~消火栓フォント~
以前、東区の“渋ビル”「中産連ビル」に訪れた際も消火栓フォントに萌えましたが、「太洋ビル」の消火栓フォントも絶妙なバランスの配置、かつ「消」の漢字も味があってステキです。高度経済成長期の建造物である「中産連ビル」と、建てられた時代の違いも感じられて面白いですね。
歴史ある「太洋ビル」にオフィスを構えたいとお考えの方は今がチャンスなのでぜひ、お問い合わせを(※公式InstagramDMから)。オフィスを借りる予定がない方も、車道~高岳間を歩く機会やがあれば「太洋ビル」の外観をご覧になってみてください。デザインはもちろん「人力でビルを動かすってすごい……!」と感動すること間違いなしですよ♪
「太洋ビル」はこちら↓